運転支援について①脳血管障害

【壱.病気と運転 ~ 道路交通法を中心として】

Ⅰ. 過去の経緯

2011(平成23 年)4 月に栃木県鹿沼市において、運転手がてんかん発作により運転中に意識消失を来し、クレーン車が歩道を歩いていた通学中の児童の列に突入して6 名が死亡するという交通事故が発生しました。事故を起こした運転手は過去2年の間にてんかん発作があり、運転免許の取得ができない状態であるにも関わらず、てんかん発作があることを申告せずに運転免許を更新していたことが明らかとなりました。

その後、2014年(平成26 年)6 月に道路交通法が改正され、一定の病気等に係る運転者対策の推進を図るための規定が整備されました。

Ⅱ. 一定の病気等とは?

表)一定の病気等

一定の病気等とは「運転免許の取消しまたは停止の事由となる自動車等の安全な運転に支障をおよぼすおそれのある病気」であり、①道路交通法第90条および第103条,②道路交通法施行令第33条の二の三,③警察庁の一定の病気に係る免許の可否等の運用基準によって規定されています。

Ⅲ. 法律的解釈

表)法律的解釈

1. 道路交通法の改正(2014年)

2014年(平成26 年)の道路交通法の改正により、①「自動車等の安全な運転に支障をおよぼすおそれのある病気であって、運転免許の取消しまたは停止となるもの」として一定の病気等が規定され、②脳卒中が一定の病気等に該当することが明示されました

2.自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(別称.自動車運転死傷行為処罰法)

2014年(平成26年)5月に刑法における危険運転致死傷罪を改正したものが、自動車運転死傷行為処罰法となります。
自動車運転死傷行為処罰法では「自動車の安全な運転に支障を生じるおそれがある病気であって、その状態であることを自分でも分かっていながら自動車を運転し、病気の影響で正常な運転が困難な状態になり、人を死亡または負傷させた場合」に危険運転致死傷罪が適用され、人を死亡させたときは15 年以下の懲役、負傷させたときは12 年以下の懲役に処されることになります。

 

【弐.脳血管障害者に対する運転支援】

Ⅰ.道路交通法に基づいた運転再開の流れ

図)道路交通法に基づいた脳血管障害者の運転再開の流れ

道路交通法では脳卒中は一定の病気等に該当します。脳卒中発症後に運転再開を希望される場合には、運転免許の有効期限の期日に関わらず、運転再開の前に免許センター(公安委員会)において運転適性相談を受け、運転再開の可否判断を行う必要があります。

Ⅱ.当院における運転支援の流れ

運転支援外来の流れ(患者用)

図)運転支援外来の流れ(患者用) 

図)当院における運転支援プログラム(運転支援全体)

当院における運転支援プログラムは脳血管障害発症後の機能回復に重点を置くことが特徴となります。身体障害や高次脳機能障害を考慮したリハビリテーションプログラムとして、①神経心理学的検査,②ドライブシミュレーターを用いた自動車運転リハビリテーションを施行しております。

※詳細につきましては当院ホームページ(https://www.keijin-kai.jp/driving-support)をご参照ください。