運転支援について②認知症 

【壱.病気と運転 ~ 道路交通法を中心として】

Ⅰ. 過去の経緯

認知症は一定の病気の1つに規定されています。警察庁の交通事故調査において、①75歳以上の運転者(以下、高齢運転者)による死亡事故が増加したこと,②死亡事故を起こした高齢運転者の約50%に認知機能低下が疑われたことが指摘されました。
その後、2017年(平成29 年)3 月に道路交通法が改正され、高齢運転者対策が強化されました。

Ⅱ. 一定の病気等とは?

表)一定の病気等

一定の病気等とは「運転免許の取消しまたは停止の事由となる自動車等の安全な運転に支障をおよぼすおそれのある病気」であり、①道路交通法第90条および第103条,②道路交通法施行令第33条の二の三,③警察庁の一定の病気に係る免許の可否等の運用基準によって規定されています。

Ⅲ.法律的解釈

表)法律的解釈

表)法律的解釈

1.  道路交通法の改正(2014年)

2014年(平成26 年)6 月に道路交通法が改正され、認知症が自動車等の安全な運転に支障をおよぼすおそれのある病気(一定の病気等)に該当することが明示されました。

2.道路交通法の改正(2017年)

2017年(平成29年)3月に道路交通法が改正され、高齢運転者の対策として、①免許更新時の認知機能検査の見直し(75歳以上の高齢運転者は、免許更新時の認知機能検査において「認知症のおそれ」ありと判断された場合、医師による診断が必要)、②高齢者講習の合理化・高度化、③一定の違反行為をした際に認知機能検査を実施することになりました。

3.自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(別称.自動車運転死傷行為処罰法)

2014年(平成26年)5月に刑法における危険運転致死傷罪を改正したものが、自動車運転死傷行為処罰法となります。
自動車運転死傷行為処罰法では「自動車の安全な運転に支障を生じるおそれがある病気であって、その状態であることを自分でも分かっていながら自動車を運転し、病気の影響で正常な運転が困難な状態になり、人を死亡または負傷させた場合」に危険運転致死傷罪が適用され、人を死亡させたときは15 年以下の懲役、負傷させたときは12 年以下の懲役に処されることになります。

 

【弐.認知症高齢者に対する運転評価】

Ⅰ. 道路交通法に基づいた運転再開の流れ

図)道路交通法に基づいた高齢運転者の免許更新の流れ

道路交通法では認知症が一定の病気等に該当するため、高齢者の免許更新の手続きは認知症の有無を判断することに重点が置かれています。70 ~ 74歳の高齢者は、免許の更新時に認知機能検査は行われず、教習所で高齢者講習を受講することで運転免許を更新することができます。
一方で、75歳以上の高齢者については、免許の更新時に教習所で認知機能検査を行います。さらに、認知機能検査において「認知症のおそれあり」と判定された場合は、医療機関で医師による診察を受けて診断書を作成する必要があります(認知機能検査において「認知機能低下のおそれあり」あるいは「認知機能低下なし」と判断された場合は、高齢者講習を受講することで運転免許を更新することができます)。その後、診断書の結果をもとに、公安委員会が免許更新の可否判断を行います。

Ⅱ. 当院における診断書作成の流れ

図)当院における診断書作成の流れ

図)当院における診断書作成の流れ

75歳以上の高齢者が免許更新時の認知機能検査において「認知症のおそれあり」と判定された場合、医療機関において診断書を作成する必要があります。当院では①医師による診察,②認知症の検査,③認知症の診断を行った後、診断書の作成を行います。
なお、病院受診に際して、可能であればかかりつけ医の紹介状・普段飲まれている薬情報をお持ちください。過去の病気や症状把握を通じて、正しい診断に結び付く可能性があります。

※詳細につきましては当院ホームページ(https://www.keijin-kai.jp/driving-support)をご参照ください。