第37回 視覚の基礎 | 医療法人社団 敬仁会 | 桔梗ヶ原病院

第37回 視覚の基礎

平成30年9月20日桔梗ヶ原病院リハビリテーション研究会Luncheon seminarを開催しました。講師は、当院リハビリテーション科の武田克彦先生(第40回 日本高次脳機能障害学会学術総会会長)。「視覚の基礎」と題し、講演をして頂きましたので、ご講演内容を報告いたします。

 

~受容器の反応~

視覚や体性感覚といった感覚は、入力された刺激に応じて、受容器にて電位を起こす。入力された刺激の強度に応じて、複数回の電位反応が生じる。

 

~視覚情報の伝達~

視覚情報は光刺激として、角膜を通りレンズ通して網膜へ入力される。網膜にて電位に変換された後、視神経を通り、外側膝状体を経て後頭葉の一次視覚野へ伝達される。

 

~水晶体と網膜~

水晶体は、目に入った光刺激が網膜にて像を結ぶように、遠くにあるものに対しては水晶体を薄く引き伸ばして、近くにあるものに対しては厚くすることで、焦点の位置を中心窩に当てるように調節している。

網膜は、水晶体で調節された光刺激を直接受け取る部分であり、3層構造をしている。表層から視神経の層、中間層、視細胞(錐体・桿体細胞)の層をなす。中心窩付近で最も薄くなり、視細胞が最も表層へ近づく。そのため、中心窩付近にてより詳細に物を判別することが可能となる。

 

~視細胞~

視細胞には錐体細胞と桿体細胞がある。錐体細胞は色の判別、桿体細胞は明暗の判別を担う。視細胞より生じた電位が中間層を経由して視神経へ伝達され、脳へと達する。

また、視神経乳頭部には視細胞がないため、視野に盲点を生じさせるが、両眼視にて盲点を補っている。

 

~視覚情報の伝達経路 視交叉~

左右の視神経は鼻側半分が視交叉で交叉する。網膜からの情報は視神経を通り、外側膝状体へ入り視放線となり伝達される。そのため、左右それぞれの眼球の右視野へ入力された情報は、半交叉により左後頭葉へ、左視野へ入力された情報は、右後頭葉へと伝達される。

視覚情報が後頭葉(視覚野)へ入力される前の大細胞、小細胞といった細胞の働きにより、色や形などがある程度識別される。

半盲は、この視覚経路の障害によって生じる。障害部位により様々な視野欠損の症状をきたす。例えば左側の経路が障害された際は、右側の視野の欠損が生じる。

 

~視覚の伝達経路 第一次視覚野~

第一次視覚野は、後頭葉内側面の鳥距溝を中心とした領域にある。下視野に対応するのは鳥距溝の上壁であり、上視野に対応するのは鳥距溝の下壁である。また、両側中心視野に対しての対応部位は前方部位に位置すると考えられていたが、井上らにより、後頭極に位置すると断定された。

 

~視力測定~

視力測定は一般にランドルト環が用いられる。ランドルト環の切れ目の長さをa(最小分離域)とすると1/a=視力である。

以上、武田克彦先生に「視覚の基礎」をテーマにご講演頂きました。次回は、平成30年10月11日にご講演して頂く予定となっております。

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