第11回「失語~1~」 | 医療法人社団 敬仁会 | 桔梗ヶ原病院

第11回「失語~1~」

平成28年7月14日桔梗ヶ原病院リハビリテーション研究会Luncheon seminarを開催しました。
講師は、当院リハビリテーション科の武田克彦先生(第40回 日本高次脳機能障害学会学術総会会長)。
テーマは「失語症」と題し、講演をして頂きましたので、ご講演内容を報告致します。

~失語症~

失語症とは、言語を一旦獲得した後に中枢神経系の一定の領域(言語野)に病変をきたし、口頭言語と書字言語の表出と理解の両方に程度の差はあるにしろ障害をきたした状態を言います。
末梢の運動器の障害、精神症状、意識障害による言語障害は除外されます。

失語症の定義は、

① 成人の後天的な障害である
② 脳の器質的な病変する
③ 「話す・ 聞く・読む・書く」の4つの様式すべてにおよぶ言語障害である
④ 言語レベルの障害である

とされています。

-診察-

診察時のポイントとして、自発話、話し言葉の理解、物の名前の表出が挙げられます。

自発話では、「あなたの名前は」、「どこが悪いですか」などの質問に答えて評価をしていきます。
話し言葉の理解では、「手をあげてください」、「左手で右目に触ってください」などを実際行って頂き評価を行います。
また、系列動作を行っていただき評価を行います。

物の名前の表出では、親密度に沿った物品呼称を行います。
これらを行うことで失語症の診断に役立てることが可能です。

-分類-

失語症は4つの様式(話す・聞く・書く・読む)からなる症候群です。
失語症の分類には古典的分類が用いられており、分類により病変を推測できるという利点があります。
流暢・非流暢のそれぞれの典型例を理解することで分類を区別することが可能になります。(図1)

流暢な発話の特徴としては、話す速度は保たれている、構音に障害がなく努力性も認めない、一息に言う単語の数が正常であり長い文章が作成できるなどがあげられます。
非流暢な発話の特徴としては、構音の運動が努力性で遅い、最初の音に誤りを認めることが多い、音韻の生産がスムーズではなく間を認める、抑揚の障害があるなどが上げられます。

図1 失語症の分類

-検査-

失語症の検査では、一般に SLTA,WAB 失語症検査が用いられています。失語症の検査では、以下の言語側面を検査することを目的としています。

 

-勉強会の様子-

 

-質疑答時間の様子-

以上、武田克彦先生に「失語症」をテーマにご講演をいただいた内容をご報告します。
次回は平成28年8月18日に、今回同様に「失語症」をテーマにご講演をしていただく予定となっています。

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